投稿日:2020年11月11日(水)
表顕力
「人にものを教えることはできない。自ら気づく手助けができるだけだ。」
イタリアの天文学者 ガリレオの格言です。
「他人と過去は変えられないが、自分と未来は変えられる。」
巷間、よく耳にする話かと思います。
人間関係に悩む人たちに対して、アドバイスのような形で伝えたりするフレーズでしょうか。
「上司が・・・」
「顧客が・・・」
そのような話が始まると、別のことを考えるようになりました。
その類の話を、建設的な話として捉えることができなくなったからだと思います。
「願ったり叶ったり。」
それ以前に、そのような話をする人が、周りからいなくなったような気もしております。
他人に対して何かを求めてしまうのは、人間の性なのでしょうか。
「そんなことはないのでは?」
と、感じ始めてはいるのですが。。。
タケルは、幼少期から頑固だった。
ただの天邪鬼なのだろうか。
褒められても、それを受け入れることはなかった。
悪く言われれば、それを否定し続けていた。
「自分の気持ちを理解してくれる人などいる訳がない。」
そう思い込み続けてきたが故に、誰の言うことも素直に受け止めることができなかった。
タケルは、内向的な性格で、一人でいることが苦にならず、自分の興味があることには、夢中で取り組んでいた。
例えば、絵を描いたりするのが好きだった。
が、誰かに作品を見てもらいたいと思うことはなかった。
高い評価を受けようが、低い評価を受けようが、どのような評価も素直に受け止めるつもりがなかったからなのかもしれない。
周りも、そんなタケルに煩わしさを感じていたのだろう。
タケルを誉めることも、貶すこともしなくなっていた。
ある日、タケルは、公園で絵を描いていた。
自分の気持ちを理解してもらえない寂しさの中、絵を描くことで紛らしていたのかもしれない。
通りがかりのマダムが、タケルの絵を見てこう言った。
「寂しい絵を描くのね。何かあったの?」
タケルの絵に対して、初めてのリアクションだった。
「うまいね。将来画家になるの?」
「こんなの絵じゃないよ。」
表面的なリアクションは、今まで飽きるほど聞いてきた。
が、今回は違った。
「誰も僕の気持ちを理解してくれないから。。。」
そう答えると、マダムは、
「理解してもらう必要はないでしょう。自分が良いと思うことを続けて行けば?そうすれば、描く絵も明るくなって行くと思うわよ。」
その日から、タケルは、周りに対して、明るく振舞うように努めることにした。
周りは、驚くばかりだったが、明らかにタケルの変化に気付いていたようだ。
タケルは、自分ではなく、他人に気付かせてもらった大切なことを、喜びとして感じていた。
あのマダムに教わったのではない。気付かせてもらったのだ。
タケルは、心の底から、マダムに感謝している。
投稿日:2021年02月25日(木)
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